嗅ぎ煙草(かぎたばこ)を入れておく喫煙具である「鼻煙壺(びえんこ)」を以前にも出品しています。
以前の商品は胡桃の殻で作られた壷に羅漢や妖怪などが彫刻されたもの、金属製(銅合金)で中国伝統八宝紋が彫金されたものなど。
今回の出品は動物の骨か何かを材料に作られた瓢箪型の鼻煙壺です。その表面に、蔓草に群がる小猿、その中心に頭冠、着衣、靴に脚絆、細長い何かを携えた大猿が、細かく、深く、透かし彫りされたもので、上に「花果(かか)」の漢字も。
「花果」は「花果山」のことで、この山は西遊記の「孫悟空」の生まれ故郷とされています。実際に「花果山」には「悟空」の子孫?の猿が多くいるようです。「花果」の漢字から、大猿は「如意棒」を携えた「孫悟空」です。
嗅ぎ煙草とは、粉末状の煙草を鼻から吸い込んだり鼻にこすり付けたりして香りと刺激を楽しむもので、「鼻煙壺」は中国の清の時代に大流行、製作者は壺の材質・形・装飾を競い合い、上流階級の日用品であり装飾品であった、現在では日用品としての用途は少なく、装飾品、美術品として愛好されているといったネット情報です。
大きさ(㌢)重さはおよそ次の通りです。
高さ(蓋あり)9(蓋なし)8.2、厚み2.8、
横幅上4.4、中3.6、下5.9、
口外径1.4、口内径0.5/
重さ110㌘/
清時代のものかどうかは分かりませんが、相応の経年によると思われる薄茶色の汚れ、変色が広範囲にみられます。これは壷の煙草によるものかも分かりません。
表面の細かい透かし彫りのどこかに、ざっと見た限りではそのようなヶ所はなさそうですが、傷があるかも分かりません。
また、表面に細かな線キズなどが見られますが、目立つようなヒビ、欠け、割れなどの損傷はほぼ見られません。蓋に付けられた匙も同様です。
今回出品の「孫悟空」の鼻煙壷は、以前に出品の胡桃羅漢の鼻煙壷や、銅合金の中国伝統八宝紋の鼻煙壺とは材料や彫刻内容の点で対照的で、ネット上で調べた限りでは類似の透かし彫りのものは一例のみでした。希少なものかも。コレクションの一つとしていただければ幸いです。
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