「荣華富貴(えいがふき)」や「大明萬歴(だいみんばんれき)年造」の文字、龍や遊ぶ童子などの絵図が彫刻された中国製の黄銅(真鍮)製錠前ですが、以前に出品の錠前よりはるかに大形です。
錠前が果してどのようなものであったのか、彫刻などから次のようなことが考えられます。
「荣華(栄華)富貴」の意味は、権力や冨を得て栄えることです。
「大明萬歴年造」の「萬歴」は、中国明代の第14代皇帝神宗の在位中(1573~1620年)に使われた元号、このため神宗帝は萬歴帝とも呼ばれ、在世時に製作された陶磁器の多くには萬歴帝を冠した「大明萬歴年製」の在銘が。「萬曆」の字も見られます。
錠前の在銘は「年製」ではなく、陶磁器では今までに出品者は見たことがない「年造」です。錠前であり陶磁器と区別のため「年造」としたのでしょうか?
錠前の汚れや緑青などから古玩(こがん、中国語で骨董品の意味)であることがうかがえますが、400年以上前の萬歴帝在世時の製作かどうかは分かりません。勿論、後世の可能性もあります。
また、錠前が大形で「荣華富貴」などの彫刻から大きく立派な建造物の施錠に使われことは容易に想像できます。鍵に彫刻の龍の爪は皇帝の象徴とされる特別な5本爪ではなく4本爪です。このことから建造物は皇宮(故宮)などではなかったようですが、立派な建造物の施錠用であったことは間違いないと思います。
大きさや重さはおよそ次の通りです。
・錠前:長さ33㌢、高さ7㌢、奥行3.8㌢、施錠域24㌢×2㌢、軸径0.8㌢、重さ2080㌘/
・鍵:長さ34.5㌢、高さ2.2㌢、厚み0.3㌢、持手頭径2㌢、重さ310㌘/
類似の大形錠前はネット上で見つからず、希少な中国古玩と思われます。汚れや緑青、キズなどは否めませんが、凹みや変形などはほぼなく、解錠施錠は問題ありません。
製作時の皇帝は果たして萬歴帝か、施錠に使われていた建造物は果たして何か、など幾つか謎があります。古玩コレクションだけではなく存在感あるインテリアにされてもいいのでは。相当の重量物であり、落下、ぶつけなどにご注意下さい。
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